2009年10月13日

提案機会を得るために【番外編】入札に参加(1)

お客様(同業者)から「ある独立行政法人(研究所)の入札案件があり、自分たちは参加したいけれど、今回の案件に技術的に対応できるメンバが不足しているので、業務委託するから一緒に参加しないか?」という話が舞い込んできたので、見積もり作成作業などをお手伝いし、首尾よく落札できたので、その話を書きたいと思います。

当社は公共入札への参加資格は無く、このような形で一緒に参加するしか方法がありませんので、非常に良い機会でした。

声を掛けて頂いたお客様は主に鉄道関係のシステムを多く受託開発している会社で、多くの実績と売上を上げている企業です。
この会社の社長とはかなり前に同じ会社に勤めていたことがあり、自分がスピンアウトしたのと同じぐらいのタイミングで彼も起業しました。

起業してからまっすぐ会社を成長させてきていて、今では社員37名を抱える立派な会社になっています。

それはさておき、入札に関しては、以前にも何度か経験していますが、今回はちょっと特別な思い入れがありました。

8月頃、自信を持って入札に臨もうとしていた補正予算絡みの案件が、政権交代のお陰で入札もままならず、流れてしまったこと。
当社としては、そこに期待していた売上を少しでも回復したいという思いがあります。
それと、今回声を掛けてもらった会社からは、以前からいろいろお話を頂いていたのですが、なかなか応えられなかったので、今回は何とか一緒に仕事をする機会を得たいという思いです。

案件の概要を聞き、研究所の方とも打ち合わせさせて頂き、研究内容に関しては、概ね理解しました。
しかし、鉄道分野の研究開発ということもあって、自分としては未知の領域での仕事になります。
普通、この状態では、自分としては見積は書けません。絶対に失敗しない、という自信がないためです。

しかし、この仕事は自分としても是非やってみたい、と思いました。技術的な興味があったのです。

今回の研究開発内容は、「画像認識」という技術領域になります。

少し話が逸れますが、当社が得意とする技術領域として、「認証システム」という領域があります。

電子認証では、電子証明書の交換を行うことで双方が認証を行い、セキュリティを確保するPKIという手法が一般的なものです。

PKIにおいてシステムが関係するのは、この証明書の生成・転送・保管・暗号化・複合化、といった部分であり、技術的に確立された仕様体系の上に実現されるもので、今ではそれもオープンソースで提供されており、誰でも利用することができます。

但し、これを運用の中でスムーズに取り扱うには、インフラに関する知識や、一般企業でのシステム運用・アプリケーション利用知識が必要になります。当社の場合は、そのあたりの経験を多数持っているのが強みです。

もう一方にバイオメトリック認証という世界があります。

指紋や虹彩や静脈紋などの、個人個人で特徴が異なるもので、偽装不可能なものを個人を認証するための鍵にするという技術です。
こちらも、現在は様々なデバイスが出てきており、導入ハードルは高くないので、こちらも普及しています。

両技術とも、現在では一般的ですが、発生から長い熟成を経て現在があります。

オリジナルのアイデアやロジックを考えた人々は多くの難題・課題をクリアし、要素技術の特定部分で成功します。
それを継承した人たちが、更なる研究を重ねることで、一般に利用可能なものに成長していく、という過程を経るのだと思います。

今では私たちの会社でもその技術を取り入れて、お客様からのニーズに応じたシステムやサービスを提供することが容易に可能になっています。

画像認識技術も最近は市販製品の中にも取り入れられており、私たちの身の回りでも目にするようになりました。

とはいえ、それを使って当社がオリジナルな利用形態を生み出したり、お客様に満足いただけるサービスを提供するところまでは至りません。

特に、情報セキュリティシステムの中では、顔認証などが99%の確度で適応できれば、暗証番号やパスワードなどの中途半端なものは不要になる可能性がありますが、認識率を上げる基礎的な研究開発に当社が独自で(自腹で)取り組むわけには行きません。

でも、今回のように案件として受注できれば、いろいろな意味で面白い取組みができると思います。

技術的には専門性を要求される分野だと思いますが、情報科学的な要素からアプローチできれば、我々にもチャンスはあると思いました。

そこでいろいろと情報を探してみると、OpenCVというオープンソースプロジェクトを、当社の専務が見つけてくれました。

早速、プログラミングに関する文献などを探したところ、既に数冊の翻訳本と、日本人の著書があったので、何冊か購入して検討を始めました。

そして、これがあれば、何とか今回の案件の要求に応じることができるだろうと思い、見積りを書くことにしました。

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ブログの中では、「どうしたら提案機会を得られるだろうか」四苦八苦している状況を書いていますが、今回の場合は、提案機会は得られましたが、その後、実際に提案するまでと、提案してから落札するまでの苦労を書いてみたいと思います。

引き続き、よろしくお願いします。
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2009年10月06日

CEATEC Japan 2009(前篇)

今日から「CEATEC Japan 2009」が開催されています。
(開催期間:10/6〜10/10@幕張メッセ)
私は明日、見てこようと思っていますが、事前調査のため、WEBの報道などをチェックしていて、いくつか気になるネタをピックアップしてみました。

* 東芝、CELL搭載の高画質液晶テレビ「CELLレグザ 55X1」を発表

CELL搭載、とは、Playstation 3にも搭載されて話題を呼んだ "Cell Broadband Engine"のことで、Cellプラットフォームのプロセッサを搭載したテレビということです。

Cell TVについては、今年初めにラスベガスで開催されたCES International 2009で、東芝が「今秋発売」と発表していたものですが、それが実際にCEATEC Japanでお披露目されたということになります。

AV関連の話題も大変興味があるのですが、ここでの話題はITなので、Cellに注目してみました。

Cellプラットフォームについて詳細な説明は割愛しますが、汎用プロセッサコアとベクトルプロセッサコアを複数持ったアーキテクチャのプロセッサで、今回発表されたレグザに搭載されたものは、1つの汎用プロセッサと8つのベクトルプロセッサを持ったものです。

言うなれば、Cellプラットフォームの特徴は、この8つのベクトルプロセッサが高速に動作するということだと思います。

どのぐらい高速かというと、物理挙動シミュレーションとレンダリング処理において、3.2GHzのPentium 4プロセッサに対して、2.1GHzのベクトルプロセッサ1基で1.5倍の処理能力を持つとのことで、ベクトルプロセッサ8基を同時に使えば12倍の処理性能になる、とのことです。

従って、このプロセッサは、物理シミュレーションや画像処理の分野を得意とするので、海洋研の「地球シミュレータ」のような自然現象や物理現象のシミュレーションを行う超並列型スーパーコンピュータから、ゲーム機やデジタル家電までをターゲットにしたものであると言えます。

Cellプラットフォームの開発が始まったのは2001年で、ソニーコンピュータエンターテイメント、東芝、IBMの3社が共同開発する形でスタートしました。
その後、2005年に最初の試作機が発表されてから、このプラットフォームに参画する企業が何社か出ており、スパコンにも採用されるなど、トピックスには欠きません。

特に注目したい履歴を羅列してみます。

2005年9月 東芝がデジタル家電向けの開発キットを発表。

この時点からCell TVの開発が具体的に着手されたのだと思われます。

2006年2月8日 米IBMがCellプロセッサを採用したブレードサーバを開発したと発表。2006年9月に発売開始(価格は1台100万円台〜)。

IBMとしても自身の牙城での活用を考えているわけです。

スパコンへの採用がいくつかあります。

2006年9月 IBM、ロスアラモス国立研究所のペタフロップススパコン計画Roadrunnerシステムにアクセラレータとして採用。

2008年5月17日 IBM、拡張倍精度(eDP)SPEを8基搭載し、倍精度浮動小数点演算を最大5倍に強化した「PowerXCell™ 8i プロセッサー」を開発、搭載ブレードサーバーをリリース。

2008年5月27日 みずほ証券、金融デリバティブ高速計算システムに、Cell/B.Eを世界で初めて採用。従来システムに比べて高速化に成功。10倍以上の見込みも。

2008年6月10日 Cellベースのスーパーコンピュータ「Roadrunner」が「Blue Gene/L」を二倍以上引き離す1ペタフロップスを世界最速達成。

プレイステーション3も3世代目になりました。

2006年11月11日 90nmプロセスのCellを搭載したプレイステーション3が発売。

2007年11月11日 65nmプロセスのCellを搭載したプレイステーション3(CECHH00シリーズ)が発売。

2009年8月19日 SCEJが、45nmプロセスのCellを搭載したプレイステーション3(CECH-2000A)を、9月3日に発売する事を発表。

東芝のCell TV関連トピックです。

2008年5月8日 東芝経営方針説明会において、Cell搭載テレビを2009年秋に発売予定を発表。

2009年10月5日 東芝がCellプラットフォームを初めて搭載した液晶テレビ「CELLレグザ 55X1」を12月上旬より発売すると発表。

ということで、今回のCEATEC Japanにおいて、東芝のCell TVが展示され発売されるわけです。
価格は100万円程度とのことですが、果たして、Cellの性能を生かしたテレビの画像はどの程度奇麗なのでしょうか?
実物を見てきて感想を書きたいと思います。

そのことよりも、私としては、Cell/B.E.のスパコン競争の方が興味があるのですが…その件は別途まとめて書きたいと思います。

* KDDI、初のLTE動体デモを展開

LTEは Long Term Evolution の略でモバイルブロードバンド通信の仕様で、下り最大100Mbps、上り50Mbpsの高速通信を実現するものです。
KDDIは2012年の商用サービス開始を目指して開発を進めていて、そのデモ(実際に動くデモ)が見られるようです。

通信で問題になるのは、通信速度と遅延の問題です。
LTEの仕様では、20MHzの帯域幅において、最大で下り326.4Mbps、上り86.4Mbpsというスピードで通信できます。

帯域幅を増やせば同時に多量のパケットを送信できますが、回線数が少なくなります。また、通信端末も広帯域化しなければなりません。いずれも商用サービス化の段階で、投資と回収のバランスが問題になるわけです。

遅延に関して、通信のためにはデータのエンコード処理とデコード処理が必要ですが、これに時間が掛かると遅延が発生します。
ここをクリアするのにはシグナルプロセッサの性能を上げる必要があります。

技術的にはLTEはあまり新しいものはありません。従来技術の延長であり、サービス開始後も従来の通信設備との互換性を維持しなければなりませんから、突出したものを作るわけにはいきません。

だからこそ、商用サービスに向けたギリギリの選択がいろいろな所で行われて、淘汰されるべきものは淘汰される、生存競争が垣間見えます。

* その他、顧客獲得のために

展示企業一覧から、当社の営業範囲のアイテムをチェックして検索したところ、37社がヒットしました。

大手は行ってもあまり意味がありませんが、中小企業でこの展示会に出展している会社には名刺を置いてこようと思っています!!


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2009年10月05日

提案機会を得るために(3)

前回は、「営業月間」と銘打ち、自分の知り合いの会社を10社程ピックアップして訪問をして、しばらくして2社から発注を頂いたという話を書きました。

その中では、予測や計画ができない事象に対しては地道に活動するのが一番である、ということを書きましたが、人間、経験を経るに従って、体験的に「いずれどうなるか」ということを推測できるようになります。

推測と予測とは「将来を見通す」という点に於いては同じような意味ですが、

予測→既知の事実や、法則・理論に基づいて将来を見通す
例)天気を予測する

推測→経験則や似たような事例、あるいは直感などに基づいて将来を見通す
例)過去の事象と同じような結果になると推測する

というような違いがあると思います。

英語では、これらの言葉はまったく違うものになります。

予測→Forecasting
推測→Guessなど

営業会議では、この予測と推測が入り交じって会話や議論が交わされます。
例えば、「この仕事は受注できると思うよ」と言う時に、何を根拠にそう言えるのか、予測なのか、推測なのか、根拠は何なのか、これは人によって感覚的な捉え方が微妙に違うこともあって、同じような根拠をベースに、ある人は推測を述べ、別の人は予測として話している、ということになります。

予測や推測が意味が無いと言うつもりはありません。
予測や推測に基づいてアクションしてみて、そのリアクションを根拠にして更に予測や推測を進めることは実際に行なわれることです。
なるべく多くの情報を集めて次なるアクションを決めるのが良いことは、誰も否定しないと思いますし、日常的に誰もがやっていることだと思いますが、成果に結びつける、あるいは、受注確度を上げるためには、このやり方が問題だと思います。

確率論的に考えると、確率を上げるには、パターンを減らすことです。
くじ引きで当たりが1つなら、10の選択肢よりも3の選択肢の方があたる確率が上がります。

確率を上げる方法として他に、選択肢が同じであるなら、何度もくじを引く事です。
外れくじを選択肢から取り除けば、少なくとも10回目には必ず当たりを引きます。

さて、選択肢の中に、必ず当たりが含まれているのであれば、地道にくじを引いていれば、いつかは当たりを引けるので、前回の話題は、そのような状況を想定して、地道な活動をすることが重要だと話しました。

しかし、自分で営業をしてみて、なかなか受注できないという事実に直面すると、当たりが含まれていないくじを引いているような気がしてきます。

多分、それは真実でしょう。

なぜ、当たりが含まれていないくじ引きをすることになるのでしょうか?
自分は、魚を買おうとしている人に対して、肉を売ろうとしているのではないでしょうか?

前回の話題で、営業訪問先として10社選択したという話をしましたが、10社は、私に仕事を発注してくれそうな人を選んでいたわけです。
訪問しようと思えば、会ってくれる人はもっと居ますが、私に発注してくれる可能性が高い人を選択したので、その中に当たりくじが入っていたことになります。

今回は売り物が決まっていました。
それを必要とするであろうターゲット顧客が想定できました。
また、事前に情報を取って、的確な案件を持っているところを選択しました。

訪問可能先が20社あったとしても、先に外れくじを取り除いて、提案機会を得る確率を上げています。

外れくじかどうかは、実は微妙なところです。
私以外の人であれば、このフィルタリングはできないでしょう。
なぜなら,売り物が「自分の技術」であり、それがどういうところに適合するか良く知っており、相手もそれを知っているという状況であるとか、どういう案件を持っている相手なら自分を必要とするかが十分に分かっている、つまり、十分に予測可能な状況にあったわけです。

しかし、他の人間、例えば、自分の事を良く知っている、弊社の社員のK君の場合はどうでしょうか?
多分、予測は不可能でしょう。彼は、スキルシートで私の経歴や対応してきた業種などを知る事ができますが、それをある企業に対して売ろうとした時に、「多分できるだろう」とか、「多分、先方は関心を持ってくれるだろう」と、推測することになると思います。
推測のレベルで、対象顧客かどうかの判断、外れくじを取り除くという判断は難しいと思いますから、結局20社全部に訪問してくることになるでしょう。

否定的な書き方のように思われるかもしれませんが、この過程はとても重要なことだと思います。
K君が20社を訪問して、その結果、10社からは良い感触が得られなかったとしても、残りの10社に対しては、可能性があるので、私に同行を求めて、さらに営業の質を高めることができます。

また、良い感触が得られなかった10社に対しても、訪問する事で存在をアピールできました。次回の訪問の約束も取り付けやすくなったに違い有りません。
また、彼らのニーズをヒアリングできたかもしれません。
それによって、自分たちが対応できないような仕事でも、パートナーに相談するなどして、パートナーの利益に資する事ができたかもしれません。

予測に基づいてフィルタリングすることは悪いことではありませんが、予測なのか推測なのかは重要です。一歩間違うと、当たりくじを取り除いてしまうことになるわけですから。また、自分では予測だと思っていても、単なる推測に過ぎないことも往々にしてあります。

予測に基づいて行動することが重要だと思いますが、その結果、置き忘れて来ているものもある、ということを心したいと思います。
posted by 社長 at 14:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記